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排出削減の数字は、約束と実績を分けて読む

日本の算定方法と世界の排出ギャップを照合し、温暖化対策の進み方を判断する。

環境
青空を背景にした近代的な建物と通信設備
イメージ写真 / Unsplash

日本の排出量は、毎年計算し直される

環境省は2026年4月、2024年度の温室効果ガス排出量・吸収量を公表した。排出量の算定は国連気候変動枠組条約事務局への報告にも使われ、算定方法の改善に応じて過去の数値も遡って再計算される。前年の資料にある数字と、最新資料の同じ年度の数字が一致しないことがあるのは、この更新のためである。

したがって、排出量の減少を評価するときは、基準年、対象年度、吸収量を含むか、算定方法が変わったかをそろえる必要がある。数字が一つ出ているだけでは、政策の効果と計算上の更新を切り分けられない。

国際目標との距離は、まだ大きい

UNEPのEmissions Gap Report 2025は、各国が新しい削減目標を全面的に実施した場合でも、今世紀の温暖化見通しは2.3〜2.5℃、現在の政策のままなら2.8℃と見積もった。パリ協定の2℃経路には2019年比で2035年までに35%、1.5℃経路には55%の年間排出削減が必要だとしている。

目標を上積みしたことで見通しが少し改善しても、現場の排出が減ったこととは別である。報告書自身が、改善の一部は方法論の更新によるものだと説明しており、政策の約束、実施、実測の三つを分けて読む必要がある。

科学の更新も、すぐに結論にはならない

IPCCは2023年から第7次評価サイクルに入り、気候の物理科学、影響・適応・脆弱性、緩和の三つの作業部会報告を準備している。第7次評価報告書の統合報告書は2029年までに公表される予定で、2026年9月時点で、現在の公式な総合評価は2023年に完了した第6次評価報告書である。

新しい研究や制度の発表が出るたびに、確立した評価と作成中の資料を同じ重さで扱わないことが大切だ。速報や計画は次の判断材料にはなるが、確定した排出実績や評価報告書の代わりにはならない。

見るべき項目を固定する

気候政策を追うときは、目標の年、基準年、対象ガス、算定方法、実績の公表時期を表にして確認したい。国・自治体・企業の発表を同じ「削減」という言葉で並べず、どの時点のどの数字かを残すことが、対策の進捗を過大評価しないための最低条件になる。

参考資料

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