選ばれた会社の先に、成長の測り方がある
支援件数や投資目標を、事業の実装と出口の設計につなげて読む。
お問い合わせ9兆円の市場を、誰が・何を理由に選ぶのかへ翻訳する。

日本政府観光局(JNTO)によると、2025年の訪日外客数は42,683,301人で、前年比15.8%増だった。観光庁の速報では、同年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円、前年比16.4%増で過去最高となった。
一方、1人当たり旅行支出は22.9万円で、前年比の伸びは0.9%にとどまる。市場全体が膨らんだことと、一人ひとりが高く買うようになったことは同じではない。集客数だけを追うと、どの顧客に何を選んでもらうかという問いが後ろに残る。
2025年の旅行消費額を費目別に見ると、宿泊費が36.6%(3兆4,617億円)、買物代が27.0%(2兆5,490億円)、飲食費が21.9%(2兆711億円)の順だった。前年と比べ、宿泊費と飲食費の構成比は増え、買物代の構成比は下がっている。
この内訳から、商品を並べるだけの販売促進では、伸びている支出を取りこぼす可能性があると分かる。滞在の理由になる場所、食事の時間を含めた体験、予約から利用後までの案内をどう組み合わせるか。自社が売るものを、旅行者の一日のどこに置くかを考える方が、広告の文言を先に決めるより具体的だ。
観光庁の2025年速報で、旅行消費額の上位5か国・地域は中国、台湾、米国、韓国、香港だった。ただし、同じ国籍でも初訪日か再訪か、観光か業務か、都市部を巡るか地方に滞在するかで、必要な情報と使う場所は変わる。
国別ページの閲覧数や予約経路、問い合わせ内容、購入後の再訪を自社で記録すれば、公的統計の大きな傾向を自社の顧客像へ近づけられる。統計の順位をそのまま広告のターゲットにするのではなく、実際の選択の場面に分解する作業が必要になる。
訪日外国人旅行消費額は、観光・レジャーだけでなく業務や親族・知人訪問なども含む集計で、広告を見た結果の購入額を示す統計ではない。市場の大きさは分かっても、個々の施策の効果までは分からない。
だから、統計から導く判断は「訪日客向けなら売れる」ではなく、「どの場面の不便を、誰に、どの接点で減らすか」まで具体化したい。施策後は自社の予約率、客単価、キャンセル、再訪を確かめ、全体市場の伸びと自社の成果を分けて読む。
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